紛争の内容
20年ほど前に親族から頼み込まれて借り入れを行った件があった、その後、親族が支払いをしたものと考えていたが、最近になって債権者から返済を求める通知が届いた、内容を見ると遅延損害金が膨れ上がり数百万円単位になっている、どのように対応すべきかとのご相談でした。

通知記載の貸付金については最後の返済から15年以上が経過しているようでしたので、代理人として消滅時効援用の意思表示を行うこととしました。

交渉・調停・訴訟などの経過
通知をしてきた債権者に対して、債権者が保有する貸付金債権については既に消滅時効期間を経過しているため、書面をもって消滅時効援用の意思表示を行う旨の通知文を送付しました。

本事例の結末
通知文が債権者に届いた後、債権者に反論の有無等を確認したところ、貸付金債権について消滅時効が完成していることに異議はないということでしたので、債務整理等の手続を要することなく、事件終了となりました。

本事例に学ぶこと
他人のために借り入れた債務については自分が必要に駆られて借り入れた債務と異なり、意識の外に置かれてしまうことが多く、長い年月放置されてしまうということがあり得ます。

他人のために借り入れたものといっても返済義務を負うのは自身であるため、本来は債務の経過について気を配っておくべきですが、長期間にわたり権利行使がなされていない債務については消滅時効援用の意思表示を行うことで解決することができますので、債権者に対して返済等に関する連絡をする前に、一度、弁護士に相談することをお勧めいたします。

弁護士 吉田竜二