紛争の内容

ご依頼者様には、10社に合計約1000万円の借入がありました。
借入の主な理由は、洋服や飲み代などの浪費とFXなどでしたが、債務の返済に困って借入を繰り返す自転車操業状態に陥った事も、債務額を増大させるひとつの要因になっていました。
ご依頼者様は、借金の原因として浪費や投資という免責不許可事由が否定できず、会社員であり安定した収入もあったため、自己破産ではなく個人再生手続を選択することとなりました。

交渉・調停・訴訟などの経過

まずご依頼者様には、支出の見直しをお願いいたしました。
家計簿を毎月付けて頂き、不相応に高額な出費をしないよう、日々の生活で気を付けて頂きました。
その結果、家計が健全化され、再生計画での月々の支払いが可能となるような余剰を出せるようになりました。
個人再生を行う際には、履行可能性(再生計画に則った月々の支払いが可能かどうか)について裁判所の厳しいチェックが入りますので、家計の健全化(黒字化)は必ず必要な対応になります。
また、本件では、大口の債権者のうち1社が、再生計画に反対(不同意)いたしました。
個人再生では、圧縮した弁済額について3年間で支払うとする計画(5年払いなどにすることもあります。)を立て、裁判所の認可を受けて支払いをしていきます。
しかし、債権者のうち、①債権者の総数の半数以上、または②総債権額の過半数 の債権者から再生計画について反対(不同意)の意見が出されると、再生計画は認可されないことになり、個人再生手続きが失敗に終わってしまいます。
本件では、その1社の債権額では過半数を超えませんでしたので、再生計画は認可されることとなりました。

本事例の結末

再生計画は無事に認可・確定し、ご依頼者様は圧縮された約200万円の弁済額について、3年間で分割して支払っていくことになりました。

本事例に学ぶこと

様々な理由でクレジットカードを利用したり、借入を行ったりすることがあると思われますし、それ自体は悪いことではないことも多いでしょう。
しかし、「返済に困ったから、他から借入して、返済に充てた」というのは、基本的に問題の先送りにしかならず、本件のように債務額を増大させてしまうことですから、債権者のみならず債務者自身にも不利に働くことになります。
「これ以上、自身の力では返済を続けられない」と思った時点で、弁護士に相談するなどして、今後の方針を見直すようにされると良いと思います。

弁護士 相川一ゑ 弁護士 木村綾菜