紛争の内容

 ご依頼者(Aさん)は、埼玉県内で接骨院を開業していました。自己所有家屋の1階を改造して、そこで施術を行っていました。ただ、住宅ローンに加え、開業資金の返済、お客さんが減った事による収入減で、クレジットカードや消費者金融に頼るようになり、徐々に返済も遅れていきました。
 このペースでは返せないという状態になりましたが、接骨院の経営は維持したいとのことで、グリーンリーフ法律事務所に相談に来られました。

交渉・調停・訴訟などの経過

 経営をするためには建物が必要でしたので、方針として「個人再生」とすることにしました。破産をした場合、建物は競売にかけられてしまうからです(住宅ローン会社の抵当権がついていた)。個人再生の場合は、借金を減額しつつ、住宅ローンは払い続けて家を維持することができます。
 問題は、施術に必要な機器もローンで購入していたことでした。これはローンを払わないと、契約上、機器を引き上げられてしまいます。ただし、特定の債権者のみに支払を続けると、「偏頗弁済」といって、個人再生が認可されなくなる可能性があります。
 そこで、「別除権協定」をすることになりました。これは、事業や生活にどうしても必要なものについては、支払を続けられるようになる制度です(相手と合意し、裁判所の許可が必要)。
 かなり綿密な調整を経て、無事に別除権協定を締結することができました。
 こうして、Aさんは、個人再生手続中も、住宅ローンと、機器のローンは返済し、その他は支払をストップしながら経営を続けられました。

本事例の結末

 無事に個人再生が認可され、借金が80%減されました。
 また、経営もそのまま続けることができました。

本事例に学ぶこと

 住宅を維持したい方は、個人再生という手段がありますので、あきらめずにご相談ください。

弁護士 申景秀