紛争の内容
負債が約1000万円ほどあり、債務者は小規模個人再生手続により負債額の約2割に当たる200万円を5年間で返済する返済計画を希望していました。この案件について、裁判所から個人再生委員として選任され、再生計画を認可すべきかを調査することとなりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
債務者との面談を行い、5年以内に定年退職となり、定年退職後は現勤務先で再雇用される見込みであることを確認しました。そして、現在の収入では、5年間で返済する再生計画における毎月の返済額を用意できる可能性がありましたが、定年後再雇用の収入では、毎月の返済額を用意できるのか疑問に思う点がありました。この点を債務者に伝えたところ、面談後において、現在は妻が就職できていない状況であるが、パートに就職して、世帯全体で返済に必要な金額を得られるようにするという回答がなされました。
本事例の結末
以上の債務者からの回答や、債務者から毎月提出される家計簿の内容を確認したうえで、5年間での返済が可能であると判断し、再生計画を認可するのが相当である旨の意見を提出しました。
本事例に学ぶこと
労働者は定年退職後において、現勤務先で再雇用されることがあります。この定年後再雇用の労働条件は、勤務先において公表されていることがあり、その内容によって定年退職後の再生計画の履行可能性を判断することができます。本事例はそのようなケースでしたので、他の案件においても参考となる事例でした。
弁護士 村本 拓哉








