紛争の内容
10年近く前に退去した賃貸物件について未払賃料が存在していたがそのままになっていた、直近で代理人を名乗る弁護士事務所から未払賃料の支払いを求める通知が届いた、とのご相談でした。
代理人名の通知文を確認したところ、未払賃料の発生時期は10年近く前のことであったため、消滅時効援用の意思表示を行うことで解決できると考え、代理人として受任しました。
交渉・調停・訴訟などの経過
通知をしてきた代理人事務所に対して、未払賃料については既に消滅時効期間が経過しているため、書面をもって消滅時効援用の意思表示を行う旨の通知文を送付しました。
本事例の結末
通知文が代理人事務所に届いてからしばらくした後、代理人事務所に反論の有無を確認したところ、同様の案件を多く取り扱う事務所であったため、連絡窓口についてたらい回しを受けましたが、最終的には消滅時効完成に異議がないということでしたので、債務整理等の手続を要することなく事件終了となりました。
本事例に学ぶこと
かなり以前の支払いについて自身でも忘れた頃に請求通知が届くことがあります。
通知の発送者は代理人弁護士である場合や債権譲渡を受けたとする債権譲渡会社である場合がありますが、いずれにせよ通知文の内容は当然支払義務があるような記載になっています。
通知が来たことに慌ててしまい電話等で問い合わせをして支払いの話をしてしまうということがありますが、支払いを前提とする受け答えをしてしまうと消滅時効の援用ができなくなる可能性があります。
そのような通知が来た時点で法的に支払いをする必要があるかどうかについて専門家の意見を聞いた上で対応することをお勧めいたします。
弁護士 吉田 竜二