紛争の内容
以前に債務整理をしたことのあるAさんご夫婦。
再び借入れが増えてしまい、4社から借り入れておりますが、オートローン付の自動車は通勤用に維持したいという要望でした。

また、Aさんご夫婦は、お二人ともに仕事をしており、負債の支払で家計状況は圧迫されていたものの、月々の支払額を調整すれば、返済していくことの可能な経済的状況にありました。
Aさんご夫婦は、一度、債務整理の手続きをしていることやオートローン付の自動車を残したいことから、「任意整理」を強くご希望されました。

弁護士からは、オートローンの会社に対しては、債権が別にあり(要するに、オートローンのほか、借入の債務があり、そちらの借入の方は整理したいと希望していた)、オートローンについても解除され、自動車は引き上げられてしまう可能性(リスク)があることを説明し、それでも返していきたいということだったので、任意整理として受任することになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
受任後の流れとしては、債権者に任意整理を希望する受任通知書を送付し、オートローンの会社には個別に連絡し、オートローンのみを維持しながら他の債務を整理する方針を伝えました。
その後、債権者から取引履歴等を取り寄せ、現在の残高を確認し、それらの弁済計画を立て(月いくらの弁済が可能か、これを債権者に割り振ると一社にいくら支払えばよいのか、それらの総額と期間など)、ご依頼者の確認や債権者との個別交渉を行いました。

本事例の結末
順次、債権者とは和解することができ、将来利息をカットしてもらい、今残っている金額を3年~4年程度で返済していくことで合意することができました。
自動車については、オートローンを整理せず、そのまま支払をすることを前提に、手元に残すこともできました。

本事例に学ぶこと
将来利息だけでも馬鹿になりません。例えば、300万円の借入があり年15%の利息とすると年45万円もの金額が債務が全く減ることなくお財布から出て行く計算となります。

そのため、任意整理という方法で債務を整理することがたまにあります。

しかし、破産手続や小規模個人再生等の手続と比べて、”債務が減らない”という点では債務者にメリットは少なく、また、債権者の意向次第では和解が整わない(例えば、5社の債権者がいて、弁済に回せる月額が決まっているとして、1社でもゴネられると、全体としての弁済計画が成り立たないというリスクがあります。)こともあり、一概におススメの手続ということはできません。

ただ、今回のように任意整理に適したケースも少数ながらございますので、お困りの方はまずは一度、債務整理のご相談をお願いします。

弁護士 時田 剛志