紛争の内容

20代の頃から借り入れをはじめ、買い物をしたり、飲食をしたり、旅行をしたりして、借り入れがかさんで限度額いっぱいまで借り入れをしてしまい、30代になった後に会社を辞めて、財産を売ったりして返済をしたものの、その後返済はできていないという方から、ご相談を受けました。
債務整理をご希望であり、お話をお聞きする限りは、消滅時効を行使して債務を消滅させることをまず始めるべきだと考えました。
他方、債権者が訴訟を起こして判決をもらっている可能性もありましたので、その場合は、消滅時効を使うことができませんので、破産などの債務整理をする必要があることなども説明をさせて頂きました。

交渉・調停・訴訟などの経過

債権者あてに、消滅時効を行使する旨の通知を行いました。債権者は、訴訟を提起していなかったらしく、判決などをこちらに提出することも、当方からの消滅時効の行使に対して異議を述べるということもしませんでした。

本事例の結末

消滅時効の行使により、約700万円の負債は消滅しました。

本事例に学ぶこと

本件においては、最後の返済をしたころには、債権者に伝えていた勤務先を退職しており、その後、転居しているという事情もありました。債権を回収するためには、相手方の住所を調査して訴訟を提起する必要があり、住所がわからないまま、債権者の担当職員が訴訟を提起することは困難であったのかもしれません。また、勤務先がわからなければ給与の差し押さえができませんので、そのこともまた、債権者が訴訟を提起しなかった理由になるのかも知れません。そのため、こういった事情がある場合は、消滅時効の行使をあきらめずにおこうなうべきであるということを学びました。

弁護士 村本拓哉