今回は、警備員のAさんから債務整理の相談を受け、小規模個人再生の手続きを選択して、490万円の借金(遅延損害金を含む)が100万円に圧縮されたケースについて、簡単にご紹介します。

Aさんは、借金が490万円程あり、借金の主な原因は生活費や遊興費でした。

年齢は、65歳でした。

収入は、警備員の仕事をしており、手取り収入が20万円弱でしたが、比較的安定しておりました。
Aさんは、この仕事を6年以上続けており、会社からは、定年後も引き続き雇ってもらっておりました。

借金の返済は、毎月足りなくなると新たに借り入れをして返済するという自転車操業状態に陥っており、支払を継続することは困難な状態でした。

このような場合、手続選択としては、破産もありました。
しかし、破産手続を開始した場合、借金が0円になるのは良いのですが、その代わり、職業の資格制限を受けます。

そして、警備員の仕事は、警備員法14条1項により資格制限の対象となっておりました。

もちろん、資格制限は、破産手続中のもので、破産手続開始決定後、諸手続きを経て、免責許可決定が確定すれば、再び資格制限を受けずに働くことはできます。

しかし、Aさんには、職場に破産手続をすることを言いたくない思いがあったのと、一度警備員を辞めるとしても、年齢的に再就職が難しいおそれやそもそも破産手続中の生活を成り立たせることが難しいという状況でした。
そこで、よく話し合いをした結果、Aさんは、資格制限が掛からず、かつ借金を大幅の減らすことのできる小規模個人再生という手続を行うことを選択されました。

小規模個人再生の方針を決定し、早速、契約手続を経て、弁護士が受任通知を送り、借入れや返済をストップして、家計の管理を始めてもらいました。

また、気になる弁護士費用ですが、弊所では、分割払いが可能です。
その間、金融機関等からの催促は止まります。

小規模個人再生の場合、再生計画を立案し、圧縮された債務を、認可された計画に従って3~5年の範囲で分割します。
弁護士費用の分割払いがきちんとなされていれば、再生手続後、再生計画通りに弁済していけることの裏付けにもなります。
また、この間にも、家計簿の作成や必要書類収集を行い、債務整理をする自覚のもと、小規模個人再生申立の準備を着々と整えます。

Aさんが弁護士費用の支払いを終えると、弁護士は、必要書類とともに、Aさんの小規模個人再生を地方裁判所に申し立てます。
裁判所では、債務者審尋といいまして、一度、裁判官・債務者・債務者代理人弁護士・裁判所書記官が同席し、面談を実施することになりました。裁判官において、気になる点があれば、債務者に対して、直接、話を伺います。もっとも、債務者代理人弁護士も同席しますので、適宜、補足で説明サポートをすることもありますので、ご安心ください。Aさんの面談では、債権者・債権額の確認、借金の経緯、換価できる財産等について聞かれました。

また、小規模個人再生は、借金を大幅に減額し、残りを3~5年で返していく手続であるため、Aさんがきちんと履行(弁済)できるかどうか確認するため、小規模個人再生手続開始後においても、履行テストとして、数か月間、月2万円程度を積み立てることが求められました。
履行テストの金額は、家計の状況にも配慮してもらい、ぎりぎりの金額を設定してもらえました。

なお、履行可能性に疑念があったり、財産関係で不明瞭な点があると、裁判所が調査するため、再生委員の弁護士が選任されることもあります。その場合、裁判所に納める費用として15万円という出費があります。

しかし、Aさんの場合、弊所で疑念を払しょくするために疑わしい点があれば先回りして調査・報告をしていたこともあり、再生委員が選任されずに済みました。

Aさんは、履行テストをきちんと行い、再生計画に対する過半数債権者の不同意も出なかったため、無事に、小規模個人再生の認可がおりました。
その後、Aさんは、4年間を渡って、3か月に1度のペースで、490万円から100万円に圧縮された債務を返済していくことになりました。