自己破産の手続き中には、「債権者集会」という手続きが行われるのはご存知でしょうか。簡単に言うと、その名称からも分かるように、裁判所が債権者を集め開く集会のことです。
破産手続の中でも重要な手続の一つです。以下具体的に解説していきたいと思います。

債権者集会とは

債権者集会の概要

債権者集会とは、自己破産手続が「管財事件」(破産管財人が選任される事件)として処理された場合において、破産管財人が債権者に対して、破産に至る経緯や破産者の財産状況、破産手続の進捗状況を報告し、債権者から意見を聴取する集会です。裁判所で開かれます。

第1回債権者集会は、概ね破産手続開始決定から3カ月後に開催されます。
なお、自己破産手続が「同時廃止事件」(破産管財人が選任されない事件)として処理された場合には債権者集会は開催されません。

「管財事件」と「同時廃止事件」について

自己破産手続の処理方法には、大きく分けて「同時廃止事件」と「管財事件」の2つがあります。
「同時廃止事件」とは、破産者本人に一定以上の高額な財産がなく、債権者に分配する財産も無いと考えられるケースにおいて、破産手続を簡略化して行う方法です。

これに対して「管財事件」では、破産管財人が裁判所に選任され、破産者の財産の調査や換価、配当などを行うことになります。
債権者集会が行われるのは、こちらの「管財事件」のみになります。

債権者集会への参加者

債権者集会に参加するのは、以下の人たちです。

①担当裁判官
②破産管財人
③破産者本人
④破産者本人の代理人弁護士
⑤債権者

①~④の人たちは基本的に必ず出廷となります。
一方で⑤の債権者は、参加するかどうかは任意に決めることができます。
債権者には裁判所から債権者集会の案内が郵送されてきますが、参加するかどうかは任意です。欠席したからと言って、制裁やデメリットなども特にありませんので、実務上出席しない債権者が多いのも事実です。特に、銀行や消費者金融等の会社はあまり参加しないように思います。
そのため、借入先が銀行や消費者金融等の会社からのみという場合は、債権者が誰も出席しない状態で集会が開かれることも実務上よくあります。
一方で、個人的にお金を貸していた等の個人債権者は出席してくることがままあります。

破産者本人が債権者集会を欠席するとどうなるのか

破産者本人は、破産手続において説明義務を課されているため、債権者集会に出席する義務があります。破産者の代理人弁護士も同様です。

正当な理由もなく破産者が債権者集会を欠席すると、説明義務に違反したとされ、それが原因で免責が許可されない可能性があります。

ただし、病気等のやむを得ない事情などがある場合には、事前に裁判所に報告、相談し許可を得れば例外的に欠席を認める可能性はあります。

債権者集会の内容(流れ)

債権者集会において行われる内容(流れ)は概ね以下のとおりです。

① 破産管財人による財産状況の説明

② (異時廃止の場合)破産手続の廃止に関する意見聴取

③ 質疑応答

④ (配当がある場合)計算・配当に関する報告

⑤ 免責審尋

以下それぞれ解説していきます。

① 破産管財人による財産状況の説明

破産管財人が出席した債権者に対して、破産者の財産状況について説明を行います。
破産者がどのような財産を所有していて、どの財産について換価を行ったかなど、管財人の行った業務も報告します。

② (異時廃止の場合)破産手続の廃止に関する意見聴取

債権者に一定の配当を行うためには、破産者にある程度の財産がなければなりません。
財産調査や換価の結果、破産手続きを以後継続しても配当とはならない、つまりそのために必要な財産を破産者が持っていないことが判明した場合、破産手続きは終了(異時廃止といいます)することになります。
その場合、債権者集会では、その異時廃止について、債権者から意見を聴取することになります。

③ 質疑応答

破産管財人からの説明に対して、債権者は質問することができます。
債権者から質問を受けた場合、破産管財人または破産者(破産者の代理人弁護士)がこれに回答することになります。

④ (配当がある場合)計算・配当に関する報告

破産管財人が破産財団に属する財産すべての換価を終了し、各債権者に配当できるだけの財産があると考えられる場合には、各債権者へ実際どれくらいの金額の配当が可能なのかどうか計算し、その結果を債権者に報告することになります。

⑤ 免責審尋

破産手続が終了すると、つぎに免責手続を行うことになります。破産手続と免責手続とは、厳密には別手続ですが、通常は、債権者集会のその場で引き続いて免責審尋を行うことになります。

免責審尋については、破産管財人が免責についての意見書を提出します。
破産管財人から免責が相当であるとの意見書が提出されれば、基本的には裁判所も免責決定を出すことになると思います。
なお、裁判官から破産者本人に対して質問などがされる場合もあります。

債権者集会にかかる時間

債権者集会にかかる時間は、ケースバイケースなので何とも言えない部分ですが、債権者の出席がない(0人の)場合には、破産管財人の報告も短時間・簡易で終わる上、債権者からの質問もありませんので、5分程度で終わることが多いです。
一方、多くの債権者が集まり、破産者に対して多数質問等がなされるような場合には、長時間にわたる可能性があります。

債権者集会の回数

債権者集会の回数に制限はありません。
ただ、第1回の債権者集会で手続きが終了する案件は多いように思います。

第1回債権者集会の時点で、破産者の財産の換価・回収等の破産管財人の業務が終了していない場合(例えば、破産者本人が不動産を所有していて、それが買い手がつかず売却できていない場合など)、さらに1~2か月後に第2回の債権者集会を行うことになります。
複雑な案件では債権者集会を何回も開催する場合があります。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 小野塚 直毅
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