請負会社が工事途中で破産する場合、建築工事の前受金は返金しなければならないのでしょうか

特殊な工事でない限り一般的には、破産法53条が適用され、破産管財人がその工事についてキャンセル(解除)か続行(履行)の選択権を有することになります。

多くの場合、破産会社の資金繰り破綻を理由に工事が中断していることが多く、残工事を続行することができず、破産管財人としては残工事については解除を選択せざるを得ません。

そして、既完成の出来高部分については、請負代金の精算をすることになります。
ここで、出来高が前受金を超えていれば、管財人はその差額を注文者に請求しますが、反対に前受金が出来高を超えている場合は、注文者はその差額を財団債権として請求できるとされています(最判昭和62年11月26日)。

なお、施主(注文者)から破産手続開始前に解除されていた場合は、前受け金の出来高超過分の返還請求権は破産債権となります。