紛争の内容
ご相談者様は、5社のクレジットカードを利用しており、合計600万円程度の残高がありました。月々の支払額は20万円近くにもなっていました。
また、この他に、ご自宅の住宅ローンも1800万円程度の残高がありました。住宅ローンの月の支払額は12万円程度ありました。
これらの支払いだけでご相談者様の毎月の給料は底をついてしまい、生活費は全面的にクレジットカードに頼っている状態でしたので、借金の総額が全く減らない状況でした。
支払いの遅れも発生してきてしまったため、これ以上は踏ん張ることができないと考え、弊所にご相談にいらっしゃいました。
交渉・調停・訴訟等の経過
住宅ローン支払い中のご自宅があるため、住宅ローン特則付きの小規模個人再生を行う方針で受任いたしました。
家計簿をご作成頂き、家計の状況を詳細に分析したところ、決して無駄遣いはしていないものの、必要な生活費が収入に比してやや高めのご家庭だったため、再生計画にて月々弁済していく予定の金額分の余剰を確保することが少々難しい状況でした。
しかしながら、ご本人含めたご一家の努力や工夫と、ご親族の物的・金銭的援助をとりつけて、何とか履行可能性のある再生計画を立てることが出来ました。
本事例の結末
無事に再生計画認可を頂き、本件は終了いたしました。
本事例に学ぶこと
本件でご依頼者様がクレジットカードに頼るようになったきっかけは、ご本人の体調の悪化に伴う収入の減少でした。
一般に、収入が減少した場合は、減ってしまった収入の額に合わせた生活をするほかありませんが、生活水準を落とすことはなかなか難しく、クレジットカードの利用や借入で凌ぐという方も珍しくありません。
しかしながら、収入の減少が一時的なものであれば、借りたものを返すこともできると思いますが、ある程度の期間続いてしまうとなると、これを取り戻すことは容易ではありません。
本件でも、その後、ご本人の努力である程度収入は回復しましたが、以前の水準までは戻らず、負債を返せるほどの余力を持つことができなかったという経緯があります。
こういった状況は、どなたにも訪れ得るものかと思います。
そのときに備えて日頃から計画的な行動を心掛ける、いざ万が一の状況が生じたときにはなるべく冷静に対処する…頭では分かっていても、難しいことです。
弁護士としては、(皆様にそのような事態が訪れないことが一番良いですが)もし借入やクレジットカードの返済が難しくなった場合には、お早目にご相談くださいとお伝えするほかありません。
ぜひおひとりで悩まず、抱え込まず、ご相談ください。
弁護士 木村 綾菜








