紛争の内容

本件は、私が代理人としてではなく、裁判所から選任された「破産管財人」として関与した事案です。
破産を申し立てた方は、真面目な会社員でしたが、職場での執拗なパワーハラスメントに精神を蝕まれていました。

逃げ場のないストレスを解消するために彼が手を染めたのは、刺激の強いギャンブルである「競輪」でした。

当初は少額の憂さ晴らしでしたが、職場での精神的苦痛が増すにつれ、より強い刺激を求めて賭け金が増大。

負けを取り戻そうとする焦りも重なり、気がつけば借金は膨れ上がり、自力での返済が不可能な状態に陥っていました。

交渉・調停・訴訟等の経過

破産法において、ギャンブルや浪費による借金は「免責不許可事由(借金をゼロにできない理由)」に該当します。そのため、形式的に見れば、彼の免責は認められない可能性がありました。

しかし、破産管財人の役割は、単に不許可事由を見つけて断罪することだけではありません。なぜそのような行為に至ったのか、そして本人が真剣に経済的更生を目指しているかを見極め、裁判所に意見を述べることも重要な職務です。

私は彼との面談を通じ、借金の根本原因が「個人の怠慢や快楽」のみにあるのではなく、「パワハラによる極限状態の精神的逃避」にあったという背景を深く掘り下げました。

彼は既に、借金の原因となったストレス源である職場を退職しており、新たな環境でやり直すために熱心に転職活動を行っていました。
また、同居するご家族も事態を重く受け止め、「二度とギャンブルには手を出させない」と、家計の管理や日常生活の監督を固く約束してくれました。

私はこれらの事情を精査し、「本人は深く反省しており、環境も改善され、更生の可能性が高い」と判断しました。
そして、裁判所に対して、彼に裁量免責(裁判所の判断で特別に借金をゼロにすること)を与えるべきであるという意見を提出しました。

本事例の結末

裁判所は、管財人である私の調査報告と意見を全面的に採用しました。 結果として、めぼしい財産がなかったため破産手続は廃止(終了)となり、最も懸念されていたギャンブルによる借金についても、本人の反省と生活再建への努力が評価され、無事に「免責許可決定」が下されました。

彼は借金の重圧から解放され、ご家族の支えのもと、新しい職場で人生の再スタートを切ることができました。

本事例に学ぶこと

本事例からお伝えしたいのは、「ギャンブルが原因の借金でも、絶対に解決できないわけではない」ということです。

もちろん、ギャンブルによる借金は原則として免責されにくいものです。しかし、そこに至った経緯、現在の反省、そして未来に向けた具体的な行動(環境を変える、家族の協力を得るなど)があれば、裁判所や管財人はその事情を汲み取ります。 私たち弁護士は、破産管財人としての経験も豊富です。

それはつまり、「裁判所がどこを見て判断するか」を熟知しているということです。 借金の理由が何であれ、隠さずに正直に話し、人生をやり直す覚悟を持つことこそが、解決への最短ルートなのです。

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弁護士 時田 剛志