紛争の内容
ご依頼者様は、若いころからパチンコをされており、貯金はまったくできていなかったそうです。

そうしたところ、5年ほど前に、軽い気持ちで消費者金融から50万円を借りました。大きなお金が手元に入ったことに気持ちが大きくなり、それまでより積極的にパチンコに行くようになりました。

また、世間で「投資」がブームになっていた頃だったため、株式への投資にもお金を使いました。お金が稼げると思って、信用取引を始めてしまったのです。

パチンコも、信用取引も、いわゆる「負ける」ということがある世界です。

ご依頼者様は、借りたお金や給料をこういったものに費消してしまい、これらに圧迫された生活費や「負けた」分を取り返すための資金として、さらに複数社から借入を重ねるようになりました。

結局、負債総額は400万円を超え、月10万円以上、返済をしなければならなくなりました。

月の収入より、月の返済額と生活費を足した金額の方が多くなってしまい、どうしても赤字が解消できなかったため、弊所にご相談にいらっしゃいました。

交渉・調停・訴訟等の経過
お話を伺ったところ、破産をすると差支えのあるご職業であること、借入の事情が上記のようなもので免責不許可事由(浪費・賭博)があること、現在使用している自家用車をなるべく手元に残しておきたい理由があること、配偶者の方がお仕事に復帰され、生活費に多少の余裕が持てそうであることが分かりましたので、本件では小規模個人再生手続きを進めることになりました。

借入の経緯、支出の詳細、その他大きなお金の流れなどを書面にまとめ、裏付けの資料も出せるだけ提出しました。

また、ご本人には、長年続けてきたパチンコは一切止め、配偶者の方にも事情を打ち明けて手続にご協力頂きたいことをお伝えし、ご一家で家計の健全化に取り組んで頂きました。

本事例の結末
上記の結果、本件では個人再生委員は選任されず、再生計画案に対して債権者からの反対もありませんでした。

無事に再生計画は認可され、手続終了となりました。

本事例に学ぶこと
個人再生手続を選択すべき事情(制限職業、車を手元に置いておきたい等)がある場合でも、家計に十分な余剰が無ければ、履行可能性が無いとして再生計画案は認可されないこととなります。

本件では、たまたま配偶者の方の収入を合わせれば家計に余剰が生まれるという状況になったため、夫婦共働きを前提として、個人再生手続を選択することができました。

家計を健全化して余剰を生み出すためには、ご家族(特に配偶者)のご協力が必要となってくることがほとんどですので、様々なご事情はあるとは思いますが、なるべく率直にご状況をお話頂くことをおすすめいたします。

弁護士 木村 綾菜