依頼内容
勤務先でのストレスによりうつ状態となり休職中である、これまで生活費の不足分等で借入れを行っていたが休職に伴い収入が減少したため約定どおりの返済を行うことが難しくなった、とのご相談でした。

住宅ローンが存在し自宅を維持したいというご要望でしたので、近い将来、再度就労を開始するという見込みのもと小規模個人再生事件の代理人として受任しました。

負債状況
住宅ローンを除き1200万円程度

資産状況
受任当時99万円を超える財産はなかったものの(住宅についてはオーバーローン)、再就職手当の受給により再生計画認可時には100万円を超える財産がある状態となった。

方針・事件処理の結果
債権者に受任通知を送付し、必要書類を揃えることと並行して再就職の目途がどうなるかの検討を行いました。

その中で休職原因から元の勤務先に戻ることは難しいとの判断に至りましたので、元の勤務先については退職の上、再就職先を探すこととなりました。

幸いにも退職から近いタイミングで再就職先が見つかり、また、早期に再就職となったため、失業保険から相当程度の再就職手当が支給されました。

再就職先は安定的な収入が期待できる勤務先であったため、再就職直後から申立ての準備を進め、裁判所に対して小規模個人再生の申立てを行いました。

履行可能性について調査が必要であるとして再生委員が選任されましたが、その後も安定的な収入状況が継続したため履行可能性に問題はないとの再生委員の意見を得るに至り、再生計画認可まで漕ぎつけることができました。

本事例に学ぶこと
個人再生手続の申立てを行う際には将来的に安定した返済を行うことができる収入状況にあるということが求められます。

今回のケースは、相談当初、収入状況が極めて不安定な状況でしたが、その後、再就職を経て安定した収入状況となることが高い蓋然性をもって予想されたため、個人再生手続の申立てに移ることができたということになります。

ご自身の勤務等の状況から個人再生手続の申立てができるか分からず躊躇しているという方は、一度、弁護士に相談の上で方針についてご検討いただくことをお勧めいたします。

弁護士 吉田 竜二