紛争の内容
依頼者は会社員として長年勤務していましたが、妻が病気を患い、医療費が多くかかるようになり、また自らも体調を崩し、医療費がかさむようになったことから、生活費を補てんするために借り入れをするようになりました。

交渉・調停・訴訟等の経過
依頼者には長年勤務していたこともあり、相当程度の退職金がありました。

この退職金も、破産手続上8分の1は個人の財産としてみなされます。

そのため、依頼者は、その他預貯金や保険の解約返戻金などとも合わせると、手元の財産が100万円以上ありました。

破産の場合も99万円は手元に残せることが可能ですが、100万円以上の財産については、財団に組入れ、債権者への配当にまわされるのが原則です。

しかし、退職金は当然のことながら退職しなければ現実に支払われるものではなく、現時点で依頼者の手元にある財産ではありません。そのため、財団に直ちに現金を組み入れることは不可能な状況でした。

そこで、破産手続開始後に依頼者が得た賞与を一部財団に組み入れる形にして、裁判所に対し、100万円以上の財産についても、本人の財産として手元に残すよう要請しました。

本事例の結末
上記要請の結果、100万円以上の金額についても、一部財産として依頼者の手元に残すことが認められました。

本事例に学ぶこと
破産をすると、一切財産は手元に残せないと誤解されている方も多い気がいたします。もちろん、高額な財産は不可です。

一方で、99万円以内であれば、手元に残せる可能性は高いです。

潜在的な財産も含め総額が100万円以上の場合でも、本件のような対応により、手元に残すことができるかもしれません。

そのため、財産が手元に多くある場合は無理と諦めず、まずは弁護士に相談いただければと思います。

弁護士 小野塚直毅