事案の内容
ご相談者は、FX、オンラインカジノ、ビットコイン等の仮想通貨に次々と手を出し、あっという間に債務を膨らませてしまった方でした。
幸いにも収入は安定しておりましたが、到底、返済を継続できないほどの負債になっており、思いつめた表情で弊所にお越しいただきました。
債務整理の選択肢としては、自己破産と小規模個人再生や給与所得者再生がありました。
自己破産を選択しなかったのは、相談者の少しでも借りたお金は返したいという気持ちや、債務の原因が射幸行為にあること(免責不許可事由に当たること)が明白であったことなどにあります。
小規模個人再生と給与所得者再生の違いは、どちらも圧縮した債務を返済する必要がありますが、前者は債権者の過半数が異議を出すと再生計画が認可されないのに対し、後者は異議により手続がダメになることはないが可処分所得に応じて前者よりも高い金額を返済しなければならないという違いがあります。どちらも、安定した収入があり、3年から5年で返済できる人である必要があります。
ご相談者は、特に異議を出してくる懸念のある債権者は多くありませんでしたので、小規模個人再生を申し立てることにしました。

事案の経過(交渉・調停・訴訟など)
まずは、小規模個人再生として、継続的に返済をすることができることを示すため、弁護士費用を分割払いとし、分割金額を、再生計画と同等の金額に設定し、履行テストを兼ねて手続を進めました。
しかし、悠長なことは言っていられませんでした。
債権者の一部から訴訟を提起され、判決まで出されてしまいました。つまり、給与差押のリスクが高まっている状況でした。
そのため、時間をかけて履行テストを兼ねて弁護士費用を分割払いしていられなくなり、残りを一括でお支払いいただき、速やかに、小規模個人再生を申し立てました。
なお、弊所が、個人再生に強いのは、できるだけ個人再生委員のつかない手続になるように工夫することにあります。なお、東京では全件、個人再生委員が選任される運用ですが、さいたまでは事案に応じて選任されるものです。
今回は、FX、オンラインカジノ、ビットコイン等の仮想通貨について、非常に複雑かつ難解な取引履歴が存在しました。そのため、逐一、その仕組みや内容、取引履歴の見方を確認し、その内容を裁判所に対する報告書としてまとめ上げ、再生委員の仕事を申し立て段階から完成させることにしました。

本事例の結末
結論としては、個人再生委員は専任されずに済みましたので、再生委員報酬の15万円を浮かせることができました。また、再生計画も特に異議もなく認可に至りました。

本事例に学ぶこと
最近は、FX、オンラインカジノ、ビットコイン等の仮想通貨に手を出して、支払不能に陥る人が増えてきております。このような方の場合、少しずつ負債を増やしてしまった人とは異なり、意図的に、賭けに成功すれば大金を手にでき、賭けに失敗すれば破産すればいいと短絡的な考え方もあり、裁判所からは、厳しい目でチェックされることになります。特に、自己破産の手続では、免責不許可事由に該当するため、裁量免責を得られるか(得られるとしても破産管財人による調査は必須です)がポイントとなります。
一方、個人再生では、免責不許可事由というハードルはありません。あるのは、安定した収入で継続的に返済できるかどうかというものです。
ご相談者により最良の手続は異なります。
最近、他の法律事務所で、「破産はできるけど個人再生を断られた」という方からの法律相談も増えております。
グリーンリーフ法律事務所は個人再生も得意にしておりますので、お気軽にご相談ください。

弁護士 時田剛志