交渉・調停・訴訟などの経過

本破産者は、住宅ローン会社系列債権者を除く、一部債権者任意整理後の、支払不能による、破産申立ての事案である。
任意整理をするに至った過大債務の原因は、離婚による独身となったことによる過大な遊興費が主である。
よって、任意整理に後続する破産管財において、浪費という免責不許可事由に該当しないかが問題になった事案である。

本事例の結末

 いわゆる本件は、破産者の「浪費」と本件破産の過大債務負担との因果関係が問題となった事案であるが、管財人として、下記判断した。破産者が、一部債権者に対する任意整理を行った後の、返済生活における借り増しにより、本破産申立の過大な債務負担との間には、相当因果関係があることが認められる。ところで、上記任意整理前の浪費と、本破産申立の過大な債務負担との間に、免責不許可事由にあたるとするための、相当因果関係があるか問題となる。本件破産者は、収入に比して過大な、キャバクラ、風俗店の利用という、遊興費への費消が浪費にあたることは前述したとおりであるところ、破産申立は、過大な債務負担によるこの浪費で作った債務の任意整理の返済と、一人暮らしには負担の大きな住宅ローンの負担、扶養義務者としての養育費の支払いのやりくりのための借財によるものであって、上記浪費は、過大な債務負担の遠因に過ぎないと評価する(条解破産法第2版1658頁、東京高裁昭和60年11月28日決定参照)。したがって、上記浪費は過大な債務負担との間の相当因果関係は認められない。よって、免責不許可事由には該当しないと結論し、意見した。

本事例に学ぶこと

① 第一債務整理を一部債権者の任意整理を選択したことの合理性如何(住宅ローン特則付個人再生の選択の可能性)
② 債務者男性にありがちな、キャバクラ・風俗の利用による過大債務負担と、破産免責については、個人再生の利用をするか、免責調査型管財事件となることを前提に破産を選択するかは、依頼者債務者の将来の生活設計如何による。