給与のファクタリング取引③

「給与の債権を売れば、支給日前に現金を受け取れる」などと宣伝する、給与ファクタリングないし給料ファクタリングについて、トラブルが全国の消費生活センターに寄せられ、また、私たちに対する法律相談の際にもたびたび耳にします。

1 仕組み

仕組みは次のようなものです。

消費者個人から、給与の支払いを受ける権利を売買します。
つまり、消費者(労働者)は、賃金債権を給与ファクタリング業者に譲り渡し、ファクタリング業者は手数料を引いた金額を消費者に提供します。

そして、消費者は給料日に、勤務先から給与の支払い(振込)を受けますので、そのうちから、ファクタリング業者に、手数料を含めた金額を支払うという仕組みです。

2 高額な手数料

このような仕組みのもとで、生活に困窮した消費者は、「借金ではない」「(信用情報)ブラックでもOK」などの宣伝文句で、給与ファクタリングを利用し、高額な手数料を請求されたケースや、強引な取り立てを受けるケースが見られます。

3 貸金業違反

給与ファクタリング業者については、貸金業法上、給与ファクタリングを業として行うことは貸金業に該当すると考えられています。
無登録で給与ファクタリングを業として行う業者はヤミ金業者です。

ヤミ金業者は、貸金業の上限金利が貸金業法のほか、利息制限法、出資法で定められているにもかかわらず、貸金業ではないとして、上限金利以上の高額な手数料を請求してきます。また、勤務先や家族への強引な取立てが発生しています。

東京地方裁判所は、令和2年3月24日、給与ファクタリングは、貸金業法、出資法違反であり、当該契約は無効、刑事罰の対象となる旨判決しています。

4 多重債務の無料電話相談

多重債務に陥っており、借り増しのために給与ファクタリングの宣伝が気になったら、ファクタリング業者に電話をする前に、当事務所の多重債務無料電話相談をご利用ください。
ご相談者に相応しい債務整理の方法をご案内いたします。