任意整理は債務を返済していく手続ですが、同じく債務を返済していく方法として、個人再生手続(小規模個人再生手続と給与所得者など再生手続)があります。どちらの手続をとった方がよいのでしょうか。
個人再生手続のうち、多く使われるのは小規模個人再生手続ですから、任意整理と小規模個人再生手続を比べてみましょう。
たとえば、債権者が8社あり、債権額の合計額が400万円だったとします。この400万円について、8社の債権者から取引履歴を取り、利息制限法で再計算した場合、300万円になったとします。任意整理の場合ですと、この300万円を分割払いで返済することになりますが、小規模個人再生手続の場合、この300万円の20%以上(ただし、最低額は100万円)を返済すればよいのですから、結局、100 万円を3年間の分割払いで返済すればよいことになります。
したがって、通常は任意整理よりも小規模個人再生手続をとった方が有利だということができます。
任意整理をした方がよいのは、
■ 各債権者との取引が非常に長く、利息制限法で再計算すると、債権額が激減する場合(たとえば、債権額の合計額が400万円だったのが、利息制限法で再計算すると100万円になってしまうような場合)、
■ 債権者の数が2~3社で、小規模個人再生手続のような裁判所を通す手続をとるまでもない場合、 たとえば、勤務先の会社から借金をしていて、小規模個人再生手続を取ることができない場合(小規模個人再生手続を取る場合、すべての債権者を手続の対象にしなければならず、勤務先の会社にも裁判所から書類が行くことになります。任意整理の場合は、勤務先の会社だけを任意整理の対象から除くことも可能です)、
などの例外的な場合です。