ギャンブルでできた借金で自己破産は無理か?手続きを弁護士が解説!

こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。

借金の返済に困っているものの、借金の主な原因がギャンブルだから自己破産ができないと思い込んではいないでしょうか。

たしかに、法律上、ギャンブルによって借金が増えた場合には、原則として自己破産が認められないということになっています(法律上、「免責不許可事由」にあたるということになります)。

もっとも、その場合でも、ギャンブルについて真摯に反省して、二度とギャンブルによる借金を繰り返さないと約束できるのであれば、裁判官の裁量により、自己破産が認められるケースもあります(これを「裁量免責」といいます)。

自己破産が認められるための条件とは

自己破産とは、破産者の収入や財産が不足し、借金の返済が出来なくなってしまった場合に、裁判所へ申し立てを行い、法律上の支払い義務を免除してもらうという手続になります。

ここで、自己破産が認められるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

① 家計の状況からして、借金を返済できない状況にあること(「支払不能」であること)
② 借金をした理由がギャンブルなどの「免責不許可事由」にあたらないこと
③ 自己破産が認められない債権(「非免責債権」といいます)ではないこと

借金の原因が、生活費のために借りたなどではなく、ギャンブルをするために借りたということであれば、上記②の「免責不許可事由」にあたるということになります。

自己破産は、借金の返済が難しくなった方を救済するための制度ですが、債権者の立場から見れば、貸したお金が返ってこないという不利益を受ける制度でもあります。

したがって、どのような理由による借金でも自己破産が認められるわけではなく、ギャンブルなどの利己的な事由に基づく借金の場合には、原則として、自己破産が認められないということになっているのです。

ギャンブルを理由とする借金でも自己破産できる場合があるのか

ギャンブルを理由とする借金でも自己破産できる場合があるのか

もっとも、たとえ借金の主な原因がギャンブルであったとしても、そのギャンブルの額や期間などの事情は、人それぞれ異なります。

仮に、全てのケースで自己破産が認められないとすると、借金の返済で困っている人は、一生借金を背負っていかなければならないことになってしまいます。

そこで、事情によって、借金の返済について免責を許可しても良いだろうと考えられるケースでは、裁判官の裁量により、免責が認められることになっています(これを「裁量免責」といいます)。

具体的には、自己破産の申し立てに際して、裁判所に以下のような事情を説明することになります。

・ギャンブルに使った金額がいくらか。
・ギャンブルをしていた期間はどれくらいか。
・申立人がギャンブルについて反省をしているか(ギャンブルをきっぱりとやめているか)。
・申立人が手続きを誠実に対応しているか。
・申立人が、家計をしっかりと維持するなど、生活再建に向けて意欲的に努力しているか。

特に、申立人がギャンブルについて真摯に反省しているか、および、手続きに誠実に対応しているかが重視され、申立人がギャンブルを繰り返さないかが厳しくチェックされることになります。

上記のような事情を説明したうえで、裁判官が免責を許可してもよいだろうと考えた場合には、裁量免責が認められます。

ギャンブルによる自己破産を申し立てる際の注意点

ギャンブルによる自己破産を申し立てる際の注意点

ギャンブルなどの「免責不許可事由」がある場合の注意点としては、裁判所での手続において、「管財人」という弁護士が選任される可能性が高いということです。

「管財人」は、免責不許可事由がある場合などに、免責決定を出してもいいのかどうかの調査をし、裁判所に対して、免責相当かどうかの意見を提出するという職務を負っています。

「管財人」が選任される事件を「管財事件」といいますが、管財事件の場合、申立人の財産状況や家計状況を厳しくチェックされるということに加え、管財人に支払う費用として、裁判所に対して「引継ぎ予納金」を支払う必要があります。

また、一般的に、管財事件が見込まれる事件では、自己破産の申し立てを依頼する弁護士費用も、高めに設定されることが多いといえます。これは、申立てをする弁護士も、管財事件への対応が必要になるためです。

どうしても自己破産が難しい場合には?

どうしても自己破産が難しい場合には?

ギャンブル以外にも免責不許事由があるなど、裁量免責を得ることも難しいと思われる場合には、個人再生の手続きを申立てるという手段もあります。

個人再生の手続きとは?

債務整理の方法には、自己破産と並び、個人再生という手続があります。

個人再生の手続きは、簡単に言うと、借金を5分の1~10分の1程度に圧縮して、原則3年間で返済していくというものです。

自己破産の場合とは違い、免責不許可事由がある場合でも申立てを行うことができます。

もっとも、個人再生の手続に特有の留意点もありますので、個人再生手続きの記事もご参照ください。

まとめ

まとめ

「ギャンブルが原因の借金だから自己破産はできない」と思い込んで、諦めてはいないでしょうか。

この記事で述べてきたとおり、ギャンブルを原因とする借金でも、自己破産が認められる可能性は大いにあります。

自己破産を申し立てる際には、過去のギャンブルを反省すること、また、ギャンブルをきっぱりとやめることにより、生活を立て直す努力が必要になります。

自己破産は無理と諦める前に、自己破産の手続きに精通した弁護士に相談し、免責を得られるように、手続きに誠実に対応することが大切です。

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■この記事を書いた弁護士
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弁護士 渡邉 千晃
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