こんにちは。弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士 渡邉千晃です。
債務整理を行うと、借金の支払い義務が免除されたり、一部圧縮されたりされることになりますが、滞納している税金の支払い義務は免除されるのでしょうか。
結論からいうと、税金の支払い義務が免除されることはありません。
では、滞納している税金については、どのように対応していけばよいのでしょうか。
そこで、この記事では、税金を滞納した場合にどのようなリスクがあるのかを説明したのち、滞納税金をどのように対処すればよいのかをわかりやすく解説していきます。
自己破産で免除される債権とは
「非免責債権」について
自己破産を行ったとしても、支払義務が免除されない債権があり、「非免責債権」と呼ばれます。
非免責債権には、損害賠償金(重過失の場合)や慰謝料(悪意のあるもの)、養育費、従業員の給料、そして、各種税金の支払いなどがあります。
各種税金には、市民税や所得税、住民税、自動車税、固定資産税などの税金や、国民年金、国民健康保険料なども含まれます。
税金の滞納をどうすればよいのか
自己破産でも税金の支払い義務が免除されないのであれば、滞納している税金はどのように対処すればよいのでしょうか。
結論からいうと、滞納している税金は返済する必要があります。
自己破産では、特定の債権者に対してだけ優先して返済する行為は、「偏頗弁済」として禁止されています。
しかし、税金だけを返済する場合でも、税金の支払いは「偏頗弁済」にあたらず、何ら問題がありません。
なぜなら、税金は非免責債権として、自己破産の手続でも免除されないものであるため、破産の有無に関わらず、支払わなければならないことに変わりがないからです。
税金を滞納し続けるリスクとは
税金を滞納し続けるとどのようなリスクがあるのでしょうか。
延滞税・延滞金が発生するリスク
税金の納付期限を守らなければ、経過日数に応じて、追加の税金が発生することになります。
国税にあたる税金を滞納した場合には延滞税、地方税にあたる税金を滞納すると延滞金が発生します。
期日を守って納付しなければ、より多くの税金を納めなければならないことになるのです。
「差押え」のリスク
また、税金を滞納し続けると、財産の「差押え」を受けるリスクがあります。
差押えが行われると、自分の財産(不動産、動産、給料や預金口座など)が没収されることになります。
消費者金融や金融機関からの借金を滞納した場合と異なり、税金を滞納した場合は、行政機関の職権により、裁判所の許可なしに即時に差押えを行うことが出来ることとなっています。
どうしても税金を支払えないときには?
どうしても税金が支払えない場合には、税務署や自治体に相談しましょう。
税務署の窓口では、支払えない事情や、いつまでに支払いを行うことが出来るのかといった点を協議することで、支払を待ってくれる場合があります。
自己破産を弁護士に依頼するメリット
債務整理を依頼された弁護士は、債権者に対して、「受任通知」を発送します。
この「受任通知」の発送により、債権者からの督促が一時的にストップすることになります。
これにより、税金以外の借金の返済が停止することなるため、これまでほかの債務の返済に充てていた金銭を税金の支払いに充てることができるようになります。
個人再生の手続と税金について
債務整理には、自己破産の手続と並び、個人再生の手続もあります。
個人再生は、債権総額を一定額に圧縮して返済していく手続であり、住宅ローンがある場合に住宅を残せる可能性がある点などでメリットがあります。
個人再生手続きにおいても、税金は、「一般優先債権」にあたるため、減額の対象とはなりません。
また、一般優先債権は再生手続きに関係なく随時弁済すべきものであるため、手続きに関わらず、できるだけ早く返済する必要があります。
なお、個人再生手続きにおいても、手続を依頼された弁護士は、各債権者に対して「受任通知」を送ることになるため、税金以外の督促が一時的にストップします。
これにより、これまでほかの債務の返済に充てていた金銭を税金の支払いに充てることができるようになる点は、自己破産の場合と同様です。
まとめ
税金の支払いが滞納していることにより、借金の返済に苦しんでいる場合には、自己破産などの債務整理手続を通して、税金の滞納を解消することが必要になります。
借金の返済に困っている際には、弁護士に相談することをおすすめいたします。
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