免責不許可となる場合③ 財産隠し・債権者隠し

破産手続きをして借金を免れるためには、免責の許可を得なければなりませんが、破産法には免責を許可しない場合がいくつか決められています。
その中のひとつが「財産隠し・債権者隠し」と呼ばれるものです。

破産法252条1項1号や6~10号,11号では、破産手続きにおいて財産を隠したり、債権者を偽ったりすることを禁止しています。

破産という制度は、本当は返済しなければいけない借金などを、法律の力で強制的に免除するという強力な制度です。
そのため、ルールに則って、債権者は平等に取り扱われなければなりませんし、債務者(破産者)は債権者に対して誠実でなければなりません。
「財産隠し・債権者隠し」は、破産という制度を利用するにあたっては、最もやってはいけないことのひとつなのです。

この「財産隠し・債権者隠し」をしたことで免責不許可となる事例には、下記のようなものがあります。

○現金・預貯金や保険について、管財人や裁判所に申告せず隠しておき、自分で費消したり、親族に贈与・名義変更した
○借金が返せなくなった後に、預貯金を配偶者の名義に移したり、不動産を親族・知人に売却した
○現金・預貯金について、配偶者と離婚をして、財産分与として不当に多く渡した
○給料や還付金などの振込先を、申告していない銀行口座にしたり、他人名義の銀行口座にした
○親族や友人などの一部の債権者について、破産手続とは別に解決するという意図で、債権者一覧表に載せなかった
○一部の債権者について、連絡を絶ちたい・配当を渡したくない等の理由で、債権者一覧表に載せなかった

これらのような事情については、管財人や裁判所も厳しく評価をしていますので、破産手続中の方はもちろん、これから破産を考える方も十分ご注意ください。
もし、ご自身の状況でご不安な点や疑問などがあれば、包み隠さず弁護士にご相談され、方針をご検討されることをおすすめいたします。