個人再生事件において個人再生委員が就くケース

さいたま地方裁判所の現時点での運用では、弁護士が個人再生の申立人に代理人として就いている場合、個人再生委員という方は選任されないことが多いです。

個人再生委員は、申立人(債務者)の方の財産などを調べ、また場合によっては再生債権の評価に携わり、再生計画の履行可能性などをチェックすることがその役目です。

「このような場合であれば絶対に選任されない」という明確な基準があるわけではありませんが、申立人に一見していくらの評価をすればよいか分からない財産があったり、債務を抱えた経緯に複雑な事情があって、今ある申立人の債務超過の状態を評価することが難しい場合、あるいは収入が不安定であり再生計画を立てられるか・計画通り遂行できそうかということについて裁判所が疑わしいと感じたときなどに、選任されているように思われます。

とはいえ、個人再生委員は、どちらかというと申立人の再生計画が無事認可されるように後押ししてくれる存在であると理解すべきでしょう。

むろん、そもそも個人再生手続が法律上許されないような事案であれば、個人再生開始の決定に対し個人再生委員がマイナスの意見を出すこともありますが、基本的には個人再生委員の適宜のチェックを通してもらうことにより、ご自身の再生手続が認めてもらえる方向にあるのだとお考えいただくのが良いと思います。

したがって、残念ながら個人再生の申し立てをして、個人再生委員が就いてしまえば、その分予納金が増額(さいたま地方裁判所の場合、15万円)してしまうものの、その選任は決して個人再生手続がそれ以上進まなくなるということを意味するものではないので、そのことだけで不安になる必要は全くありません。