不動産をお持ちの方が破産をした場合、その不動産は管財人によって売却・換価され、債権者に対する配当の原資になるのが原則です(ただし、不動産に抵当権がついていた場合は、抵当権者が売却代金の中から優先的に弁済を受けます)。
ところが、時々、立地や広さなどの物理的要因や、他に共有者がいるなどの権利関係上の要因により、管財人がいくら頑張っても「売れない」不動産というのも存在します。
よくあるのが、バブルの時期に購入したリゾート地の別荘やマンションです。

こうした「売れない」不動産があるために、買い手がつくまで延々と債権者集会期日を重ね、何年経っても破産手続が終わらない…ということにはなりません。
管財人が一定期間努力したにもかかわらず、今後も売れる見込みがないと裁判所が判断すれば、管財人はその「売れない」不動産を破産財団から放棄することができます。
破産財団から放棄された、その「売れない」不動産はどうなるのかというと…端的に言えば、そっくりそのまま破産者の手元に戻ってきます。つまり、破産したのに不動産を失わずに済んだ、という状況になってしまうのです。

しかし、そっくりそのまま破産者の手元に戻ってくるといっても、手放しで喜べるとは限りません。
その「売れなかった」不動産に抵当権がついていた場合、裁判所での破産手続が終了した後も、抵当権はついたままです。すなわち、抵当権者の有する債権は、抵当権が把握している担保価値の限度で消えずに残っている(自然債務として残る)ということです。
具体的にはどうなるかというと、その後も、抵当権者から破産者のもとに、「不動産の任意売却をお願いします」(あるいは「抵当権を実行して競売にかけます」)、「親族、友人、知人などで買える人がいませんか?」といった連絡が来ることになり、抵当権者とのやり取りが続いていくのです。
破産して、せっかく全ての債務をきれいに清算したのに、上記のようなやり取りが続くのは、心理的負担となるでしょう。しかしながら、この事態ばかりはどうにも避けることができないのです。
不動産が売れて、その売却代金を抵当権者の有する残存債権に充当してもらうまで、ゴールは先延ばしとなります。