破産の準備中に、給与や預貯金等が差し押さえられた場合の対応について

弁護士に破産手続の依頼をし、弁護士から各債権者に受任通知を発送すると、債権者から債務者の方へ直接の取立や連絡が止まります。

しかし、債務者の方に対し弁済を求めて訴訟を提起したり、既にある債務名義(判決など)に基づいて差押をされることは禁止されておりません。

破産の開始決定があれば、差押や進行中の訴訟がストップしますが、問題となるのはその開始決定が出されるまでになされる差押についてです。

そこで今回は、「もし破産の準備中に給与や預貯金などの財産が差し押さえられてしまったらどうした良いか」ということについて説明します。

給与や預貯金などの財産が差し押さえられてしまった場合、差押命令を受領してから一定期間経過後、債権者は差押を受けた第三債務者(勤務先や預貯金の預け先)に対し、直接取立をすることが出来るようになります。

この差押によって、ご自身の生活が成り立たなくなってしまうという場合には、「差押え範囲の変更」という、裁判所に差押え命令の全部または一部を取り消してもらうための申立てがあります。

この申立てを受けた裁判所は、ご自身や債権者から資料を提出してもらい、審理を経て、「差押命令の(一部)取消し」または「申立て却下」という結論を出します。

なお、この「差押命令の(一部)取消」が認められたとしても、債務そのものがなくなったり、減ったりするわけではありませんので、その点はご留意ください。