私が、本人に電話し、話したところ、「当時の自分は、明日の資金を集めるのに必死でそんな細かいことは覚えていないんです。毎日毎日必死で働いても、資金繰りがつかず、もう死のうと自殺まで考えた時期です。その当時のことを、このように管財人から細かく聞かれるのは、とてもつらいです。思い出したくもない苦しい過去なんです。今は前だけを見て生きていこうと思っているのに、思い出させないでほしい。」とおっしゃっていました。

破産管財人の弁護士の方へは、本人の覚えている限りで作成した回答書を送り、それ以外に、本人のこのような気持ちも回答書に書き入れ、伝えることにしました。もちろん、破産管財人は、法人と個人の資産について調査しなければいけないので、通帳の細かい記載や、リース物件や保険のことなど、聞いてくるのは当然ですし、もちろん、破産申立の代理人としてはそれらにきちんと回答するのは、大事なことだと思います。しかし、それだけでなく、申立人ご本人様のお気持ちへの配慮、その方の今までの苦労も理解してあげることも、大事なことだと思いました。