ご依頼者様は、複数台の車を次々にローンを組んで購入し、支払いが厳しくなっていたところへ体調を崩して休職せざるを得なくなったことがきっかけで、自己破産手続をとることになりました。

自己破産手続、個人再生手続、いずれも申立時には財産(現金の他、預金や保険の解約返戻金、退職金見込額など)の報告をします。

ご依頼者様は、以前仮想通貨に興味を持ち、様々な仮想通貨の売買用の口座を開設していました。売買していた期間は短く、売買の回数、取引金額は少なかったものの口座には残高が残っていました。

仮想通貨の取引で負債を負うことはありませんでしたが、短期間の価格変動で利益を狙う投機的な行為は射幸行為とみなされ、免責不許可事由にあたります。そのため、申立後に選任された破産管財人からは、詳細な取引履歴の開示、全口座の解約、反省文の提出を指示されました。ご依頼者様は真摯に対応し、裁量免責をえることができました。

平成21年に誕生したビットコインを皮切りに、現在では数万種類の仮想通貨が取引されています。各金融機関でも取引が可能になり、またインターネット上の広告も多く、誰もが気軽に取引できる時代になりました。

今回のご依頼者様は該当しませんでしたが、今後仮想通貨取引による負債による破産事件、再生事件が増えることが懸念されます。免責不許可事由があっても、正直な報告、資料の提出、反省の態度を表明することで、裁量免責をえられることもありますので、まずはご相談ください。