債務整理をご依頼いただいた後にも、手続きについてインターネット等で情報をお調べになる方は多くいらっしゃると思います。
ただし、得られた情報について、弁護士に確認をすることなく、自己判断で物事を進めてしまう事にはリスクが伴います。
以前、担当させていただいた小規模個人再生ご希望のご依頼者様は、お勤め
先の福利厚生も充実しており、毎月のお給料も安定している方でした。
当社受任後、各社への返済が止まると、生活費補填のために預貯金残高が目減
りすることもなくなり、もともと社内積立金や保険解約返戻金等も多額でしたので、いわゆる「清算価値」が高額になっておりました。
清算価値とは、簡単に言えば、預貯金や有価証券、保険解約返戻金なども含めた手持ち財産を、すべて現金化したとした場合の金額を指します。
小規模個人再生の場合、債務額が1500万円以下であれば、最低弁済額は債務
額の2割あるいは100万円になることが多いのですが、「清算価値基準」といって、債務額をもとに算出した金額より清算価値が上回る時には、清算価値が最低弁済額となるという決まりがあります。
前述のご依頼者様は、この情報を得た際、ご自分が清算価値基準になるであろ
うことを察知したのでしょう。
裁判所への申立後であったものの、ひと月の間に、贅沢品と見なされる高価な
家電を複数購入した上、飛行機を利用して遠方へ家族旅行に出かけてしまい、計50万円もの現金を費消してしまいました。
当然ながら、家計簿を見た裁判所、再生委員からは、意図的に財産を減らしたものと指摘を受け、その50万円を、清算価値に加算するよう指示がなされました。
このように、インターネット等で知り得た情報をもとに、自己判断で動いてしまうと、ご自身にとってのメリットもなく、ただただ裁判官の心証を損なっただけという結果になることもございます。
弁護士に依頼をなさった後は、些細なことでも、事前に弁護士に相談をしてか
ら物事を進めることをお勧め致します。