紛争の内容
リフォーム等の個人事業を営んでいた方が、売上が急に減ったことから、クレジットカードの利用枠いっぱいまで借入れと返済を繰り返すようになりました。多数の債権者、高額の負債を抱えて自己破産を申し立てています。高級車のローンも、負債が膨らむ大きな原因でした。当職は、さいたま地方裁判所から破産管財人に選任されました。
その後、ある取引先から「依頼した追加工事が途中で止まっている」「隠している財産はないか」との問い合わせが寄せられました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当職は破産者と面談し、代理人弁護士を通じて、書面での回答と、工事に関するメールや入金資料の提出を受けました。その結果、破産者は取引先に対して工事代金を請求できる一方、追加工事は途中で止まっていることが分かりました。
財産については、破産者の預金口座の取引履歴を数年分さかのぼって確認しました。財産隠しの形跡がないことを確かめ、その結果を取引先に報告しました。あわせて家計簿の提出を求め、借金が増えた経緯を詳しく聞き取りました。
本事例の結末
集めた財産は税金等の支払いにも足りず、配当ができないため、破産手続は「異時廃止」で終了しました。
収入に見合わない車のローンは、免責不許可事由にあたり得るものでした。しかし、ギャンブル等はなく、破産者が調査に誠実に協力し、反省していることから、裁判所に「裁量免責が相当」との意見を提出しました。
本事例に学ぶこと
破産手続では、債権者から財産隠しを疑う声が上がることがあります。破産管財人は、通帳の履歴などの客観的な資料で事実を確かめ、公平な立場で説明します。また、免責不許可事由があっても、調査に誠実に協力すれば、裁量免責が認められる可能性は十分にあります。借金でお悩みの個人事業主の方は、早めに弁護士にご相談ください。
弁護士 村本 拓哉






