紛争の内容
ご相談にいらっしゃったのは、長年、手間受け大工(一人親方)として懸命に働いてこられたご依頼者様です。
ご依頼者様は、過去にも大工仕事の収入の不安定さや、複数のお子様を育てるための生活費の不足から借入れが膨らみ、約20年前に一度自己破産をご経験されていました。ギャンブルや無駄遣いなどは一切しておらず、生活に追われた結果の苦渋の決断でした。
その後は借入れをせずに生活を再建されていましたが、仕事でどうしてもレンタカーを借りる必要が生じた際、クレジットカードが必須であったことをきっかけに、再びカードを作成することになりました。さらに、手元の資金に不安がある際に銀行のカードローンを利用し始め、徐々に事業の支払いなどにも充てるようになっていきました。
コロナ禍以前は事業も順調で、比較的大規模な現場を請け負い、複数の職人を抱えるほどに拡大していました 。
しかし、新型コロナウイルスの影響で急激に仕事が先細り、職人への支払いなどで資金繰りが一気に悪化してしまいます。生活費や事業費を賄うために借入れに頼らざるを得なくなり、ご自身では返済不能な状態に陥って、当事務所にご相談にお見えになりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
本件における最大の法的ハードルは、「二度目の自己破産」であるという点です。一度自己破産をして免責(借金をゼロにすること)を受けている場合、たとえ免責不許可事由に当たる免責後7年間を経過していたとしても、原則として再度の免責は厳しく審査されます。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の弁護士は、ご依頼者様の借入れの再開が浪費ではなく、事業上の必要性から生じたものであること、そしてコロナ禍という予期せぬ外部要因が大きな打撃となったこと を裁判所に対し丁寧に主張しました。
裁判所からは破産管財人が選任され、厳格な調査が行われました。特に家計状況や個人事業主としての仕事を継続していたことから収入や経費の内容を精査されました。
私たちはご依頼者様と共に管財人の調査に真摯に協力し、長年お金を借りているうちに自分のお金のように錯覚してしまっていたことなど、過去の借入れに対する認識の甘さを率直に認め、深く反省している姿勢を示しました。
あわせて、現在は身の丈に合った小規模な現場に絞り、職人への立替払いもやめるなど、二度と借金に頼らない堅実な事業形態へとすでに改善していることを強力にアピールしました。
本事例の結末
管財人による綿密な調査の結果、ご依頼者様の深い反省と、今後の生活および事業再建に向けた具体的な改善策が裁判所に高く評価されました。その結果、無事に裁判所から「裁量免責」が認められ、借金の支払い義務がすべて免除されることとなりました。
現在、ご依頼者様は特定の工務店などから安定して仕事を受け、ご自身で管理できる範囲でのみ大工仕事を続けるという健全な形で、借金のない新たな生活の第一歩を踏み出されています。二度と周囲にご迷惑をかけないよう、固い決意をもって生活を再建されています 。
本事例に学ぶこと
「過去に一度自己破産をしているから、もう二度目は免責されないだろう」と諦めてしまい、誰にも相談できずに苦しんでいる方は少なくありません。確かに二度目の自己破産は法的なハードルが高く、管財人による厳しい調査が行われます。しかし、本事例のように、借入れの経緯にやむを得ない事情があり、ご本人がしっかりと反省して事業や生活を改善する意思を裁判所に伝えることができれば、「裁量免責」というかたちで再び立ち直るチャンスを得ることは十分に可能です。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所では、依頼者様お一人おひとりの背景や苦しいお気持ちに寄り添いながらも、裁判所や管財人に対してその方の「真の姿」と「再建への熱意」を法的な論理に乗せて的確に伝えます。事業の失敗や多重債務でお悩みの方は、決して一人で抱え込まず、新たな人生のスタートに向けて当事務所までご相談ください。
弁護士 時田 剛志








