紛争の内容
ご依頼者は、日々の仕事のストレスからギャンブルをしてしまい、借金を重ねてしまったとのことでした。また、家族が勝手に依頼者のクレジットカードを使ってしまい、多額の債務を負ってしまったとのことでした。それらの借金の総額としては、1000万円近くに及んでおりました。
ご依頼者において、債務の返済が不可能だと考えられたことにより、債務整理を行いたいという意向があったところ、住宅ローンもあったことから、今回は、個人再生事件としてご依頼をいただくこととなりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
個人再生の申立てを準備している中で、ご依頼者が不遇にも交通事故に遭ってしまいました。交通事故の相手方は、ご依頼者側に大きな過失があると主張してきたところ、仮にご依頼者の過失が大きいと判断されてしまった場合に、その損害賠償債務が個人再生の手続きの中でどのように扱われるか、という点が問題となりました。
この点、交通事故の過失割合について、相手方と任意に交渉したとしても、過失割合について大きく争いになることが見込まれたうえ、仮に過失割合を譲歩して合意したとしても、その後の個人再生の手続で、裁判所から不当な合意であると指摘されてしまうおそれもありました。
そこで、個人再生の申立てを先行させ、個人再生の手続きの中で、この損害賠償債務の扱いを検討すべきとの方針になりました。
本事例の結末
本件は、住宅ローンもあったことから、個人再生委員が選任される見込みがありましたが、交通事故の件もありましたので、やはり個人再生委員が選任されました。そして、個人再生の手続きの中でも、ご依頼者が負う損害賠償額(過失割合)について、争点となったところ、こちらが主張する過失割合に基づく債権額に対して、交通事故の相手方が異議を出し、評価の申立てを行いましたので、その評価額について、こちらが考える過失割合が妥当である旨の主張書面を提出する等しました。
結果として、こちら側の主張が認められ、こちらの考える過失割合にて債権額を評価してもらうことができました。また、個人再生の手続自体も、問題なく、認められました。
本事例に学ぶこと
個人再生の手続きと交通事故の手続が絡むことはなかなかないことかと思いますが、不測の事故が起こる可能性というのはありますので、そのような場合に、うろたえることのないように、個人再生の手続きに精通した弁護士に債務整理を依頼することをお勧めいたします。
弁護士 渡邉 千晃








