依頼内容
子どもの出産や病気、自宅のメンテナンス、自動車の修理など日々の出費を都度借入れで対応していた、安定した収入がある間は返済に問題はなかったが、徐々に利息は膨らんでいった、コロナ禍で勤務先の業績が落ち込み、その責任を異動という形で取らされそうになったタイミングで自ら転職を決意したが、転職に時間がかかってしまい約定どおりの返済が難しくなったとのご相談でした。

現在は安定的な収入があり、住宅ローンもありましたので、住宅ローン特則付き小規模個人再生手続申立ての代理人として受任しました。

負債状況
住宅ローンを除き1000万円程度

資産状況
150万円程度の生命保険の解約返戻金あり

方針・事件処理の結果
毎月の家計の状況を確認し、必要書類が調った段階で裁判所に対して個人再生手続の申立てを行いました。

お子さんが複数おり入学のタイミングが重なる等の関係で将来的に大きな支出が予想されるタイミングがいくつか存在しましたので、履行可能性の確認という観点から個人再生委員が選任されました。

個人再生委員のもとに出向き今後の返済計画について説明を行うとともに、それ以降、毎月家計の状況を提出し、将来の返済額に相当する余剰金を積み立てる等して返済計画が履行可能であることを示しました。

その結果、個人再生委員からも再生計画は履行可能であるとの意見が提出され、住宅ローン特則の利用を前提とする再生計画が裁判所により認可されました。

本事例に学ぶこと
個人再生手続を利用するためには、圧縮(通常は5分の1)した債務を3~5年の返済期間内で無理なく返済できることが条件となります。

無理なくというのは、収入の範囲内で日常生活を送ることができることは当然として、子の進学や税金の支払い、車検費用の負担など非日常的なイベントについても対応可能であるという状態を意味します。

そのため、個人再生手続の申立てにあたっては、将来の返済期間内に想定される突発的な支出の種類及びそれをどのように支払う予定であるかに関する報告書を提出することとされています。

個人再生手続を利用する際には返済期間全体を通じて家計が破綻しないかを確認すること重要となりますので、申立てをお考えの方はご自身の中でそこまで整理しておくと進行がスムーズかと思います。

弁護士 吉田 竜二