紛争の内容

Aさんは、今から7年程前に、息子が事業を興すにあたってB氏(息子の義理の母)から1,000万円を借りた際に、連帯保証人として契約書に判をつきました。
ところが、その後、息子の事業の業績は悪化。上記B氏からの借入を含め多額の負債を負って経営が回らなくなったため、息子は昨年裁判所に破産を申し立て、手続きを完了させました。
なお、息子の破産手続きの前後で息子夫婦の仲は急激に悪化しており、夫婦は別居を開始。
B氏本人から連帯保証人のAさんに支払いの督促が来ることはありませんでしたが、別の親族を介して、「やっぱり支払って欲しい。それができないというのであれば、Aさんもきちんと破産して欲しい」との意向が伝えられました。
Aさんの負債総額は約1,000万円。そのうち、B氏に対する連帯保証債務が950万円程度(遅延損害金含む)で、その他は、自宅のリフォームのための借入や食料品のカード決済が若干あるだけでした。

交渉・調停・訴訟などの経過

Aさん自身にはわずかな年金収入しかなく、目ぼしい財産もありませんでしたので、明らかな債務超過、支払不能の状態にありました。
そこで、破産を申し立てることにしましたが、個人債権者であるB氏の債権額が負債総額の9割以上を占めていましたので、B氏の意向に注意して進める必要がありました。
幸い、同じ弁護士がAさんの息子の破産申立を担当しており、その際に弁護士とB氏が直接手紙のやり取りをしていた経緯がありました。そこで、今回も同様の方法で、弁護士がB氏にAさんが破産申立をする旨の説明をし、B氏の理解を得つつ、裁判所に申立を行いました。

本事例の結末

B氏を含め債権者から異議を出されることなく、Aさんは無事に破産免責され、負債をゼロにすることができました。

本事例に学ぶこと

個人債権者に対する債務額が負債総額の大部分であるような場合には(また、その個人債権者と破産者の関係性が悪くなっている場合には特に)、その個人債権者に事情をよく説明のうえ理解を得ておかないと、破産手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。
本件では、幸いなことにAさんとB氏の関係性はそれほど悪くなく、また、B氏が非常に理解のある方で、破産しようとするAさんを非難するどころか、その経済的再出発を応援する旨の温かい言葉をかけて下さいました。Aさんも、破産せざるを得ないことに対する謝罪とB氏に対する感謝を常に口にしており、AさんとB氏の間に入った弁護士としては、このようなケースにおいては非常に珍しい、「お互いを思いやる心」を見せていただいた事案でした。