夫のDVから逃れた主婦が、住所秘匿などの措置をとったうえで無事破産した例


【依頼内容】
Tさんは、50代の専業主婦。結婚して30年以上になる夫は、工事関係の自営業を営んでおり、
お子さん2人は既に成人して独立しています。
Tさんは結婚当初から夫の暴力に苦しめられてきました。
長年の暴力に耐えてきた結果、Tさんの脊椎は傷付き、全身に痺れが出る状態となっていました。

そんなTさんは、夫の収入だけでは家計が足りないことを言い出せず、
一家の生活費を補うために、夫に内緒で、自分名義での借金をして繰り返してきたのでした。
債権者は5社、債務総額は約290万円(引き直し計算後の金額)。

平成21年、我慢に我慢を重ねた結婚生活にも限界が来て、精神のバランスを崩したTさんは、
遂に自宅を飛び出し、婦人相談センターのシェルターに逃げ込みました。
その数日後、Tさんは、「DVを繰り返す夫と離婚したい」として当事務所に来所されました。


【手続きの方針、結果】
最初は離婚の相談でしたが、お話を聞くと上記のような借金もあることが分かりました。
Tさんはずっと専業主婦をしてきた方であり、また、精神病の治療に専念する必要があったことから働くことができず、
シェルターの職員さんの勧めで生活保護を受けることになっていました。

このようなTさんの収入状況(生活保護費以外ゼロ)からすると、支払不能状態にあることは明らかであり、
破産を申し立てることにしました。
ただ、ここで問題なのが、破産を申し立てることによって、DV夫に現在のTさんの居場所を知られないようにすることでした。

そこで、細心の注意を払い、裁判所に対して、
「現在の住居はシェルターですが、住民票は移せないので、住民票が残っている自宅所在地の裁判所で破産を受け付けて下さい」、
「利害関係人から記録の閲覧請求があった場合には、Tさんの現在の居所に関する情報は出さないで下さい」
ということをお願いして、手続きを進めてもらいました。

また、通常であれば必要となる銀行の取引履歴や通帳に関しても、
その一部が提出できないこと(着の身着のままで自宅を出てきたので、手元に通帳がない。
取引履歴を出してもらうにも、夫が銀行前で待ち伏せしている可能性があり、取りに行けない)を
裁判所に理解してもらうよう努めました。

その結果、Tさんは、夫に居場所を知られることなく、無事に破産・免責を受けることができました。

その後、同じく受任していた離婚事件の方もうまく行き、Tさんは晴れて夫と離婚することができました。
最初にお会いした時は、人に対して怯える様子を隠せなかったTさんが、
1年後には自然な笑顔を見せるまでになりました。これからのTさんに沢山の幸せがありますよう、心より願っています。