Bさんは、長年勤めていた会社を体調不良のため退職しましたが、
高齢で再就職の見込みもなく、頼るべき身寄りなどもいなかったために、生活保護の申請をすることにしました。
役所の福祉課に相談にいったところ、
現在の体調や、退職に至った経緯、再就職の見込みがないという根拠について、こと細かく聴き取りがされたそうです。
それ以外にも、Bさんが福祉課の方に詳細に聞かれたのが「借金等があるか」ということでした。
生活保護制度は、最低限度の生活が維持できない場合に、
国が最低限度の生活を保障するとともに自力で生活できるように支援する制度ですので、
当然生活保護費から借金の返済をすることはできません。
そこで、福祉課の方はBさんが生活保護を受けることになった場合に、
その生活保護費から弁済がされないよう、Bさんに借金等がないかを確認していたのです。

Bさんは、消費者金融1社から10年以上前に借入をしており、
その後も返済と借入を繰り返していたため、生活保護申請の際にも元利併せて約60万円もの借金が残っていました。
結局、その借金がある以上は生活保護の申請を受け付けられないとの話でしたので、
Bさんは借金の整理をするために当事務所に相談にいらっしゃいました。
その後当事務所にてBさんの債務整理を受任することとなり、消費者金融に取引履歴の開示を請求しました。

開示された履歴を、当事務所で引き直し計算したところ、なんと借金は既に完済となっており、
逆に数万円の過払金が発生している状態でした。
借金がなくなったBさんは、改めて生活保護の申請をし、晴れて生活保護費の受給ができることになったのでした。

最低限の生活ができず、仕方なく借金をするという人もいる中で、
生活保護申請の際に借金の有無がネックになる場合もあるというのは何とも皮肉なことですが、
Bさんのように弁護士に相談して借金問題が解決できる場合もありますので、
同様の問題でお悩みの方は、是非一度弁護士にご相談頂ければと存じます。