債権者の中に親族がいるのですが、弁護士に破産の手続を依頼した後、この親族に対して返済をすることができますか。

破産をすると決めた以上、一部の債権者にだけ返済をすることはできません。なぜなら、破産というのは、破産者の財産をお金に換えて、全債権者に平等に配当する手続ですから、一部の債権者に対してだけ支払いをすることは、いわゆる偏頗弁済となり許されないからです。

たとえば、
①  経済的に困っているのを見かねて親族がお金を貸してくれたので、その親族には返済をしたい、
②  親族が保証人になっている債権がある、この親族には迷惑をかけたくないので、その債権について支払いをしたい、
③  取立てのきびしい債権者がいるので、この債権者に対しては支払いをしてしまいたい、

というような事情がある場合でも、破産をすると決めた以上、全債権者を平等に扱わなければならないのですから、返済をすることは、破産法上許されません。